あたたかくつながった日、人生は好転をはじめる
あなたの街のお天気はいかがでしょうか?
東京は、凍える雪の朝になりました。
今日は、雪の日の思い出のお話をしたいと思います。
数年前、東京に大雪が降った日のことです。
たしかあれは日曜日のことだったでしょうか。
みるみる降り積もる雪。
我が家のあたりは緩い坂になっていることもあり、積もった雪が凍ってしまうと、人も車も通行出来なくなってしまいそうです。
困ったな、と思いながら、私は窓の外を眺めるばかり───。
そんな時、街路から、子供達の楽しそうな声が聴こえてきたのです。
東京ではめずらしい雪。それも積もるほどの雪になることは滅多にありません。
子供達、雪だるまでも作りはじめたのかな?と見ていると、どうやらお父さんも一緒。
ほうきを手にしたお父さんは、道に積もった雪を懸命に道の端に寄せ始められたのです。
私はあわてて雪かきが出来る服装に着替え、後を追うようにほうきを持って、街路に出たのでした。
雪国にお住まいの方は、ここまで読んでくださって、笑っていらっしゃるかもしれませんね。
雪がほんの少し積もったくらいで困惑したり、ほうきで雪かきをしようとしたり。
けれども雪に不慣れな人々は、みんなこれでも大真面目、一所懸命だったのです。
そうこうしているうちに、ご近所の方が皆さん手に手にさまざまな道具を持って、街路に出てこられました。
男性の方が多めではあったものの、半分近くが女性です。
20代から70代の男女が10人以上、子供達も同じくらいいたでしょうか。
ある人はほうき、ある人はなぜだ長い棒。
稀にちゃんとしたスコップを手にした方が現れると、「おお~!」と感嘆の声が漏れたりして。
それから大人達みんなで、懸命の雪かきが始まりました。
慣れない作業に誰もが必死です。
雪そのものに不慣れな大人も多く、「うわぁっ」と悲鳴が上がって派手に転ぶ人がいたり。
ご本人は痛いでしょうけれど、まわりから見るとその様子がちょっと可笑しくて、爆笑が起こったり。
その傍らで子供達は、おおはしゃぎで雪遊びです。
可愛い雪だるまがそこここに誕生しました。
まだ幼稚園にも上がっていない幼い子供が、おじいさんと一緒に作った小さいもの、
「さむいからマフラーしてあげるの」という子供のやさしい気持ちがこめられたものなど。
子供達のうれしそうな様子、次々に誕生する愛らしい雪だるまに励まされて、大人はみんなで頑張りました。
「あ、雪、こんなに集めてくださって有難うございます。あとは僕がまとめて脇へ寄せますよ」
「お願いします。じゃああの辺、もう少し集めておきますね」
「助かります!」
そんな会話がそこここで聞かれました。
我が家のあたりには、町内会の活動がほとんどありません。
それでも女性同士は仲がよくて、いただきものがあればおすそ分けをし合いますし、何人かの女性が笑顔で立ち話をする姿も、日常の光景です。
けれど、男性同士は日頃会釈を交わす程度の関係。
ところがこの日雪を介して、男女の別なく、ごく自然に連携が生まれました。
一緒に作業をしながら見る間に互いが打ち解け、それにつれて男性も女性も、大人も子供も、みんなの顔にまばゆいような笑顔が増えていったのでした。
子供達がうれしそうでよかった、と思いました。
大人達が仲良く笑い合っているとき、子供は心から安心して、うれしそうな笑顔を見せてくれるものですよね。
けれど、突然の雪によって心あたためられたのは、子供達だけではないなと気づいたのです。
この日、大人もみんな心から寛いで、童心に返ったかのように素直な笑顔を見せていたのでしたから。
大人と呼ばれる年齢や立場に至った人は皆、懸命に「大人であろう」としているのではないでしょうか。
「大人らしくあろう」とする日々を重ねるうち、事実さも「大人らしきもの」になっていく。
そしてその「大人らしさ」により往々にして壁様のものを築き、自他の間に厳密な境界を引く。
その境界線により知らぬ間に少しずつ、自らを孤絶へと追いやっているのではないかと。
多くの大人が寂しさと共に生きていて、だからこそ雪、そして子供達を媒介として理屈抜きにつながれたこの日、あんなにもまっすぐな笑顔を輝かせていたのではないかと、私にはそのように感じられたのでした。
壁なんて要らない。
つながることで、人生は好転する。
私達が守るべき「大人らしさ」とは壁を築くことではなく、良識に則して生き、やわらかく、あたたかくつながることなのかもしれませんね。
周りの方とのやさしいつながりの中で、あなたの人生があたたかな日々の集積となりますよう、心からお祈りしています。
先ほどTBSの安東アナウンサーが、今日の寒さを甘く見ていましたと、薄着ででかけてきた後悔を中継で熱く語っていらっしゃいました。笑
全国的にとても寒い今日。
皆さんどうぞあたたかい服装でお過ごしくださいね。
*Web magazine`Project DRESS’で、コラム「人生が好転する気づきの美習慣」を連載させていただいています。